「うたえ!エーリンナ」のこと

 二葉さんの「うたえ!エーリンナ」が先日発売されました。実はというか、私が最初に二葉さんのことを知ったのも彼女のフィクション作品を通じてだったので、当然のようにウェブ連載中から読んでいたのですが、本としてまとまって読むとまた色々感慨深かったので、少しまとめることにしました。ほとんどが連想したことで、作品そのものについてではないかもしれませんが…。

 「うたえ!エーリンナ」は古代ギリシアで、女の子が社会的に自立することができない社会の中で詩人、つまりアーティストになりたい女の子、エーリンナが主役のお話です。登場人物は皆なんというか純真で良い子たち・良い人たちばっかりで眩しいばかりなのですが、この物語を通底するものに共感して、私は読みながらよく涙腺が緩みます。全然違う物ではあるんだけど、佐藤多佳子の「黄色い目の魚」を読んだ時の「これは私の話だ!」という感覚にも近いです(また佐藤さんだ…というのは、この間二葉さんもお招きして開催したイベントが全員佐藤さんだったので…)。

 本として通して読んだ時、サッポー先生にルクミニ・デーヴィーを思い出しました。インド古典舞踊を復興した存在で、やはり彼女緒色々賛否あるところもあるのですが(元々伝えられていた舞踊の俗的な部分を削ってしまったとか、半創作だとか…)、そうしたところも含めて、情熱をもって己の信じるところを社会に認めさせてしまった、そして後進を育てる学校【カラクシェートラ】を作りそれが今に続いている、というところ、彷彿とさせるなあ、と。

 女ばっかりの弟子でわいわい教わったりしてる所は、私自身の弟子生活を思い出すところもありました。二葉さんも、ご自身の演劇学校での経験などがベースになっているのかな。よく「女の世界は怖い」なんて言うけど、私は基本的に女の輪に守られ、励まされて来た人間なので、この繋がりの感覚はすごく分かります。たとえばライバルがいて切磋琢磨したり、ということは、どちらかといえば男性との関係性にあてはまることで、そう、女同士はこんな感じ…みたいなの、作者からすれば的外れかもしれないけど、そういうところでの共感もありました。

 ちょっと関係ないけど、ふだんは日本の古代〜中世についての本を読むことが多いので、そこだと意外と日本の女性の実情としてはけっこう自立していたり強かったりした、ということがあるのですが、ギリシアではガチでこういう感じだったんだな〜そういえばインドは実際どうだったのかな〜なんて思うところもありました。私はインドの中でも、比較的女性が強かったりするケーララやベンガルにしかほとんどいない上、師匠はそれこそバウルの中でも例外的な女性であるパルバティ・バウルなので…。それでも、もし私がインドに女性として生まれていたら、ほぼ確実に国を出ているだろうとは思ったりします。

 こちらに二葉さんが出版に際して書かれた素晴らしい文章があるのですが、この中での「ただでさえ…(中略)…自分の魂の中の一番柔らかくて大事な部分を生贄として差し出して、血だらけになる感覚」というの、すごくよく分かります。そんな簡単に「わかる」と言ってしまって良いのかは分かりませんが、そうとしか言えない感覚。私もちょうどクラウドファンディングをすることになりその文章を書いたり、添削されたり、更にありたがたいことにクラウドファンディング達成してからは、翻訳作業でやはりまた、校閲・添削・修正の作業をしていく中で、本当に、自分はまな板に裸身を放り出すようにしか文章が書けないということを実感していたので…。(そして同時に、それはどうやら誰にもあてはまるものではないらしい、とようやく気づいたのでした)

 ここまで書いて、いや、二葉さんのこの文章をご紹介するだけで充分なんじゃない? と思いました。うん、本当にそうだなあ。
 というわけで、この記事を閉じます。
 「うたえ!エーリンナ」ぜひ読んでね!

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